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タクシーの求人でよく見る「A型賃金・B型賃金・AB型賃金」。初めて見ると意味が分かりませんよね。実はこの仕組みを知らずに入社すると、同じ売上でも毎月の給料が数万円変わる可能性があります。
結論から言うと、大事なのは型の名前より「実際の給与計算式」。足切りや賞与積立があると、求人票の歩合率どおりには支給されないことがあるからです。
本記事では、6年目の現役ドライバーの私が、3つの賃金体系の違いと給料計算の仕組み、面接で実態を確かめる質問まで解説します。

私自身、「歩合率60%のはずが実質約56%」という失敗をしているので、入社後に後悔したくない方はぜひ参考にしてください。
A型・B型・AB型は、法律で全国一律に定義された名称ではありません。同じ「AB型」でも、基本給・歩合給・賞与積立の計算方法は会社によって異なります。本記事では、一般的に使われている代表的な分類をもとに解説します。
また、本記事で扱う金額は、特に断りがない限り税金・社会保険料を引く前の「総支給額」です。実際の振込額(手取り)は、ここからさらに控除された金額になります。
タクシーのA型・B型・AB型賃金を比較
まず基本から。タクシーの給料は、売上に連動する歩合給を含む会社が多いです。
単純な計算例では、「税抜売上×歩合率」でおおよその総支給額を考えます。ただし実際は、固定給・足切り・賞与積立などによって計算方法が変わります。

例えば、単純に税抜売上67万円へ歩合率60%を掛けるなら約40万円。基本的には、売上を上げるほど給料が増えやすい仕組みです。
そして、この歩合給の組み込み方が、大きく3つのパターンに分かれます。それがA型・B型・AB型です。
| 賃金体系 | 主な構成 | 特徴 |
|---|---|---|
| A型 | 固定給+歩合給+賞与など | 安定性を重視 |
| B型 | 歩合給中心 | 売上が給与に反映されやすい |
| AB型 | 月例給+歩合・賞与積立など | 会社によって計算方法の差が大きい |
A型賃金とは|固定給+歩合給+賞与の安定型

A型賃金は、固定給をベースに歩合給と賞与が乗るタイプです。
月例給 = 固定給 + 歩合給など
別途、賞与(年2回など)が支給される場合がある
普通の会社員の給与体系に一番近い形。売上が悪い月でも固定給があるので、収入の下振れリスクが小さいのが特徴です。
- A型のメリット
- ・収入が安定する(売上が悪くても固定給がある)
・賞与(ボーナス)が設定されている場合がある - A型のデメリット
- ・歩合率が低めに設定されやすい
・売上を上げても給料への反映が小さい

安定と引き換えに、売上を伸ばしても給料が跳ねにくい。ガンガン稼ぎたい人には、正直物足りない体系です。
B型賃金とは|歩合中心のシンプル型

B型賃金は「完全歩合」と呼ばれることもあり、月例給の大部分が、売上に応じた歩合給で構成されるタイプです。
月例給のイメージ = 売上に応じた歩合給 + 割増賃金・各種手当など
賞与は基本的になく、稼いだ分が毎月の給料に反映されるスタイル。仕組みがシンプルで分かりやすいのが特徴です。
- B型のメリット
- ・売上が毎月の給料にダイレクトに反映されやすい
・計算がシンプルで分かりやすい - B型のデメリット
- ・売上が悪い月は給料も下がる
・賞与は基本的になく、退職金の有無は会社による

「自分の腕で稼ぐ」という歩合制の本質に一番忠実な体系。実力主義でシンプルなのが好きな人向けです。
補足:最低賃金のルール
雇用されている乗務員には、完全歩合であっても最低賃金や時間外・深夜割増賃金のルールが適用されます。法律上、単純に「売上がなければ給与もゼロ」という意味ではありません。
AB型賃金とは|月例給と賞与を組み合わせる型
東京都内のタクシー会社でもよく見られるのが、AB型賃金です。

仕組みは会社によって幅がありますが、代表的なのが「プール型」です。B型(歩合中心)をベースに、歩合給の一部を会社が積み立てて、数か月に一回「賞与」として支給します。
毎月の給料 = 売上 × 歩合率 − 積立分
賞与 = 積み立てた分をまとめて支給
「賞与あり」と聞くと、嬉しく感じますよね。ただプール型のAB賃金では、賞与の主な原資が自分の売上に連動した歩合給になっているケースがあります。
この場合、歩合給の一部を後払いで受け取っているイメージに近い形です。
- AB型のメリット
- ・歩合給の一部が、数か月ごとにまとまって支給される
・まとまった金額を受け取る前提で、計画的に使いやすい - AB型のデメリット
- ・毎月の総支給額は、見かけの歩合率から想像する金額より少なくなる
・賞与の支給日在籍要件や算定期間によっては、支給日前に退職すると対象外になる場合がある

プール型なら、「賞与あり」の正体は自分の歩合給の後払い。ここを知らずに入社する人、本当に多いです。
足切り・基準額で歩合率が変わる仕組み
賃金体系とセットで知っておくべきなのが、「足切り」や「基準額」と呼ばれる仕組みです。
足切りとは、一定の売上ラインを超えないと高い歩合率が適用されない(または歩合率が下がる)仕組みのこと。

説明用の仮の例(実在の会社の数字ではありません)
売上50万円まで:歩合率50%
売上50万円を超えた分:歩合率62%
求人に「最高歩合率62%」と書かれていても、売上全体に62%が適用されるとは限りません。この例で62%が適用されるのは、50万円を超えた部分だけです。
税抜売上67万円の場合:
・単純に62%換算 → 67万円 × 62% = 41万5,400円
・実際の計算 → 50万円 × 50% + 17万円 × 62% = 35万5,400円
・差額 = 6万円
※売上区分に応じて歩合給が非連続的に増減する「累進歩合制度」は、厚生労働省の通達で廃止すべきものとされています。上記は、求人表記の歩合率と実質的な支給率が一致しない場合があることを説明するための簡略例です。
参考:厚生労働省「累進歩合制度の廃止に係る指導等の徹底について」(平成26年1月24日 基発通達)
同じ「歩合率62%」の表記でも、計算式次第で月の総支給額がこれだけ変わる計算です。
また、足切りとは別に、「基本給相当の基準額を先に処理して、その後の部分に歩合率を掛ける」という計算方式の会社もあります。私が1社目で経験したのは、こちらのタイプでした。

求人票の歩合率は「最大瞬間風速」だと思ってください。実際の支給率とは別物です。
歩合率60%でも実質56%だった私の体験

私が1社目で経験したAB型賃金では、求人票に「歩合率60%」と書かれていました。
しかし、当時の税抜売上と毎月の総支給額を複数月分、照らし合わせると、月例給与ベースの支給割合は約56%。
会社へ確認すると、売上全体に60%を掛ける方式ではありませんでした。基本給相当の基準額を処理した後の部分に、60%を適用する計算方式だったのです。
同じAB型でも計算方法は会社によって異なるため、型の名称だけでは実際の給料を判断できません。
入社後にこの違いに気づいた経緯や、会社選びで確認すべき条件は、こちらの記事で詳しく解説しています。
面接で必ず確認したい給与計算式
賃金体系・足切り・積立の全部をまとめて確認できる質問があります。

「税抜100万円の売上をあげたら、総支給はいくらになりますか?」
この質問なら、型の名前に関係なく、その会社の実際の計算結果が分かります。
その場で即答できなくても問題ありません。計算式や賃金規程を、後から書面で示してくれるかを確認しましょう。
具体的な説明を避け続ける場合は、慎重に判断してください。
あわせて、次の3点も入社前に確認しておくと安心です。
- 足切り・基準額の有無とライン
- 実際の給与計算式(求人表記の歩合率ではなく)
- 賞与積立の条件(支給日在籍要件など、退職時の扱い)
A型・B型・AB型のどれを選ぶべきか

6年やってきた私なりの目安です。
| タイプ | 向いている賃金体系 |
|---|---|
| 安定重視の人 | A型 |
| シンプルに稼ぎたい人 | B型 |
| 数か月ごとのまとまった支給が欲しい人 計画的に使いたい人 | AB型 |
※どの賃金体系を採用しているかは会社によって異なります。気になる会社がどの型か、求人票と面接で必ず確認しましょう。
もう一つ、キャリアの段階で考える視点もあります。

初心者のうちは固定給や給与保証で守る。稼げるようになったらB型に転職で攻める。これが私のおすすめです。
ただ、正直に言うと、型の名前そのものより大事なのは計算式の中身。
型がA・B・ABのどれであっても、足切り・計算式・賞与積立の条件が不透明な会社は、避けたほうが無難です。
よくある質問

A型・B型・AB型は、どの会社でも同じ仕組みですか?
いいえ。法律で全国一律に定義された名称ではなく、同じ型でも基本給・歩合給・賞与積立の計算方法は会社ごとに異なります。地域や事業者によって、分類の考え方が違うこともあります。
B型(完全歩合)だと、売上がゼロなら給料もゼロですか?
雇用されている乗務員には最低賃金や時間外・深夜割増賃金のルールが適用されるため、法律上そうはなりません。ただし、売上が低い月は給料が下がりやすいのは事実です。
求人票の歩合率どおりに給料はもらえますか?
足切りや基準額の仕組みがある場合、売上全体に対する実質的な支給率は求人表記より低くなることがあります。面接で「税抜100万円の売上なら総支給はいくらか」を確認するのがおすすめです。
AB型の賞与は、退職するともらえないのですか?
会社の賃金規程によります。支給日在籍要件や算定期間の定めによっては、支給日前に退職すると対象外になる場合があります。入社前に規程を確認しましょう。
まとめ|型の名前は目安。「実際の給与計算式」を確認する

| 賃金体系 | ひとことで言うと |
|---|---|
| A型 | 固定給+歩合+賞与の安定型 |
| B型 | 歩合中心のシンプル型 |
| AB型 | 月例給と賞与を組み合わせる型 (会社による差が大きい) |
・プール型のAB賃金では、賞与の主な原資が自分の歩合給になっているケースがある
・足切り・基準額があると、求人表記の歩合率どおりにはならない
・面接で「税抜100万円なら総支給はいくら?」と聞けば実態が分かる
賃金体系は、タクシー転職で一番地味で、一番大事な知識です。私のように、給与明細を見てから「計算が合わない」と気づくのでは遅い。
この記事の内容を面接前に押さえておくだけで、月数万円レベルの差を避けられる可能性があります。

同じ売上、同じ労働でも、計算式次第で月数万円変わる。これがタクシーの会社選びの怖さです。
タクシーの仕事内容や稼ぎ方は、タクシー転職まとめ記事でテーマ別に整理しています。ぜひあわせて読んでみてください。