- 普通に働くだけで月収40万円に届くのか?
- 求人の「100万円稼げる」は嘘?
- 保証給が切れたら給料が下がりそうで不安
- 歩合制で毎月の収入が安定するの?
どれも、求人票を見るだけでは分かりません。
求人票の数字だけで会社を選ぶと、入社後の給料が期待を下回ることがあります。私も1社目では保証給が終わると、毎月の給料が求人の歩合率での計算より5万円以上少なかったんです。
東京のタクシー運転手の月収は、40万円前後が現実的な目安です。私は特別なことはせず、夜日勤・月22回の勤務で、直近12か月の平均月収も40万円前後でした。
東京で乗務6年目の私が、給与明細と公的統計から、月収40万円の中身と求人の「月収100万円」の実態を解説します。

希望月収を入れるだけで、1回の勤務で必要な売上が分かるツールも用意しました。
6年目の私の月収は平均40万円(直近12か月)

私は夜日勤で、月22出番(1か月に22回の乗務)です。売上や出番の条件を満たすと早く上がれる会社なので、1出番は出社から退社まで約7時間で終わります。直近12か月の平均は、次の表のとおりです。
| 項目 | 月平均 |
|---|---|
| 出番数 | 22回 |
| 税抜売上 | 約67万円 |
| 総支給額 | 約40万円 |
| 手取り額 | 約31〜32万円 |
※金額は給与明細をもとにした概算で、明細そのものは会社が特定されないよう載せていません。月収は毎月同じではなく、売上と出番数で上下します。40万円は、その上下をならした12か月の平均です。
40万円は東京の平均(賞与込みで月換算47万円)よりやや下
私の月収は東京の平均よりやや低いです。今の会社は賞与がないので、月の総支給どうしの比較になります。出番を増やさず、つけ待ち(駅や空港に並んでお客様を待つ営業)中心で楽に稼いでいるので、40万円に納得しています。
公的統計では、東京都のタクシー運転手の年間賃金推計額は約570万円(令和7年)。単純に12で割ると月平均約47万5,000円ですが、この数字には年間賞与を月割りした分も含まれます(詳しくは後述)。
賞与が出るかどうかは、会社の賃金体系(A型・B型・AB型)次第です。型ごとの違いはA型・B型・AB型賃金の記事にまとめています。
賞与のない私の年収は、40万円×12か月で約480万円です。ただ、同じ資料では、東京都のタクシー運転手の月の労働時間は平均約198時間です。今の夜日勤は休憩を含めても月約154時間なので、1時間あたりでは平均を少し上回ります。
業界平均の集計対象には、本気で売上を追う人だけでなく、売上が少なく最低賃金に近い人も含まれます。

私の周囲では、月収40万円前後のドライバーが一番多いです。
【逆算ツール】月収40万円に必要な売上は税抜67万円

歩合率60%で総支給40万円を得るには、月の税抜売上が約67万円必要です。月22出番なら、1出番あたり約3万円の売上が目安になります。
日報やメーターの売上を税込で見ている会社の場合、税抜67万円は税込でおよそ73万円。1出番あたりに必要な売上は、次のとおりです。
- 税抜:約3万円
- 税込:約3万3,000円
※歩合率や税込・税抜の扱いは会社によって異なるので、参考値として見てください。
下のツールに希望月収・歩合率・月の出番数を入力すると、1出番に必要な売上が分かります。
1出番に必要な売上は、月収÷歩合率で月の売上を出し、出番数で割った単純計算です。足切り(高い歩合率が適用される売上のライン)や基準額がある会社では、同じ月収でも必要な売上が増える場合があります。手取りは扶養や住民税で変わります。
1出番の売上は夜日勤で約3万円、隔日勤務で約6万円
私は隔日勤務を3年やってから、もっと楽に稼ぎたくて夜日勤に変えました。勤務形態が違うと、出番数と1出番の売上の両方が変わります。
| 勤務形態 | 夜日勤(私の今の実績) | 隔日勤務(私の以前の実績) |
|---|---|---|
| 月の出番数 | 22回 | 11回 |
| 1出番の売上 | 約3万円 | 約6万円 |
| 月の税抜売上 | 約67万円 | 約66万円 |
| 総支給(歩合率60%) | 約40万円 | 約40万円 |
※隔日勤務の数字は私の当時の実績です。

隔日勤務は1出番が長くて、後半は集中力が持たない。私には夜日勤が合っていました。
日勤・夜日勤・隔日勤務の1出番の流れと向き不向きは、タクシーの勤務形態の記事で解説しています。
月収40万円の手取りは31〜32万円

求人サイトも公的統計も、載っているのは税金や社会保険料が引かれる前の「総支給額(額面)」。ただ、生活設計に必要なのは手取りのほうです。総支給40万円の私の場合、手取りは31〜32万円になります。
税金・保険料を引いた手取りは「額面×0.8弱」
給与から主に引かれるのは、次の保険料と税金です。
- 健康保険
- 厚生年金
- 雇用保険
- 所得税
- 住民税
40歳からは介護保険料も加わります。燃料代や車の費用は会社が持つので、給料から引かれることはありません。ただ、空車で都心に戻るときの高速代は自腹のことがあり、会社負担になる条件(売上や区間)は会社ごとに違います。
扶養家族の有無や住民税額で手取りは前後しますが、「額面×0.8弱」で見積もっておけば大きくは外れません。

手取りが額面の8割弱なのは他の仕事と同じ。違うのは、頑張った分だけ額面を増やせるところです。
保証給があれば未経験でも1年目は安定する

多くの会社には保証給(給料の最低保証)があり、乗務を始めてから数か月〜1年間は月30〜40万円程度が保証されます。
※ただし、保証給には条件があります。「規定の出番数を満たす」「無断欠勤・遅刻がない」などを求める会社がほとんどです。求人票だけでなく、労働条件通知書(給料の計算方法などを会社が書面で示す書類)まで必ず確認してください。
前職の新聞配達は、昼と夜を合わせて1日13時間働いて、月の総支給25万円ほどでした。私の1社目は、乗務を始めた月から1年間、総支給40万円の保証つきでした。
未経験の1年目から最低限の収入が保証されるのは、タクシー業界の隠れた強みだと考えています。ただ、保証が終わると給料は自分の売上次第になり、積立に回る分もあって総支給は30〜35万円でした。

面接では「希望の勤務形態で、保証後の月収例を、出番数も含めて教えてください」と聞きましょう。
40代・50代から未経験で始める人の採用と年収は、タクシーへの転職と年齢制限の記事で解説しています。
1出番の売上は普段2万〜4万円、まれに7万円

私の1出番の売上(税抜)は、普段2万〜4万円で、平均3万円前後です。ただし、まれに1万円台で終わる日や、7万円まで伸びる日もあります。
【当たりの日】長距離3回で売上7万円
3回お客様を乗せただけで、売上が7万円になった日があります。1回平均2万円超えのロング(長距離の乗車)が続きました。

7万円の日は年に1回あるかどうか。自分でも「今日はおかしい」と笑ってしまいます。
【ハズレの日】近距離ばかりで売上1万5,000円
羽田のお客様は全員大田区行きで、銀座のお客様は中央区・港区行きばかりだった日があります。どちらも乗り場から近く、1回の売上が小さい行き先です。1出番働いて売上1万5,000円でした。

へこむ日もありますが、1日単位で一喜一憂しないようにしています。
雨の日は1出番の売上が5,000円ほど増えやすい

雨の日は、傘を持たない人や濡れたくない人が一気にタクシーを使うので、空港でも銀座でも客待ちの列が早く進みます。
イベントや連休でもタクシー需要は増えますが、私の実感では、需要の増え方は雨の日が一番大きいです。
私は雨予報の日、「今日は稼ぐ」と決めて営業に出ます。雨の日は1出番の売上が普段より5,000円ほど増えることが多いです。
私の働き方で、1出番の売上は普段4万円あたりが上限
私の夜日勤は出社から退社まで約7時間で、1出番でお客様を乗せられるのは10回ほどです。そのため、よほどのロング続きでない限り、売上は普段4万円あたりで頭打ちになりがちです。
逆に売上が2万円を下回ると、「今日はダメだったな」という感覚になります。

日々の売上は行き先に左右されますが、お客様が集まる場所と道を覚えれば、平均売上は上げられます。
【私はつけ待ち専門】楽だが売上の波は大きい

タクシー運転手の営業方法は大きく2つに分かれます。
- 流し
- 街中を走り回ってお客様を探す
- つけ待ち
- 駅や空港でお客様を待つ
私の1出番は、ほとんどがつけ待ちです。1回の売上が大きい場所にはタクシーの列ができ、並んでいる間は体を休められます。
疲れにくいのが、つけ待ちの最大のメリットです。一日中流しで走り続けるより、並んで待つほうが気持ちも体もずっと楽です。
つけ待ちの欠点は、日によって売上の波が大きいこと。ロングのお客様に当たれば1回で数万円ですが、近距離ばかりの日は売上が伸びません。
ただ、つけ待ちで稼ぎにくい日は街全体の需要が弱く、ほかの乗務員に聞くと流しも苦戦しています。

つけ待ちは楽ですが、稼ぎたいなら流しが向いています。
羽田と銀座でどう並ぶか、1日の流れと待ち時間の使い方は、つけ待ちの記事で解説しています。
月収40万円と60万円の3つの違い

月収60万円を狙うなら、私との違いは次の3つです。
- 出番数
- 1出番の平均売上
- 営業方法
出番数は、私が22回で、同僚は24〜26回です。1出番の平均売上は、私が約3万円で、同僚は約4万円。私はつけ待ち中心、同僚は流し中心で、雨の日も必ず出ます。
出番数・売上・営業方法は、自分の働き方で変えられます。たとえば、出番25回×1出番4万円=税抜売上100万円、歩合率60%なら総支給60万円です。
※60万円の同僚の数字は、私の周囲で稼いでいる人の働き方をもとにした目安です。年齢や経験年数より、出番数・1出番の売上・営業方法のほうが月収を左右します。

私は出番を増やす気も、売上を伸ばす気もないので40万円です。どちらかを増やせば、月収は上がります。
求人の「月収100万円」はほとんどが最大瞬間風速

求人サイトに載っている「月収100万円!」は、業界トップ層が出している特殊な数字です。月収100万円には、次の4つの条件が重なって、はじめて届きます。
- 出番数を増やす
- 実車率を高く保つ
- 繁忙期に働く
- ロングのお客様をつかむ

実車率は走った距離のうちお客様を乗せて走った距離の割合です。
「月収例:35万円〜100万円」と幅広く書いてある求人もあります。私の周囲を見る限り、下限に近い35万〜45万円が現実的な目安です。
2026年3月には「東京のタクシー運転手の約61%が月収100万円超えを経験している」という民間調査が話題になりました。
※このインターネット調査の回答者は177人で、東京都の回答者は41人です。調査は東京のドライバー全体の実態を示す公的統計ではないため、参考程度に見てください。
出典:X Mile株式会社 実態調査
繁忙期に一度だけ月収100万円になるのと、毎月100万円稼ぐのは違います。
同じ調査では、全国の回答者の約7割が月収40万円以下。平均月収が100万円を超えていたのは、東京の回答者41人のうち2人だけでした。
求人の「月収100万円!」は、ほとんどの場合、最大瞬間風速を切り取った数字です。面接では、求人の月収例について次の3つを確認してください。
- 最高月収か平均月収
- 何回の出番で稼いだ金額
- 賞与を含む金額
東京のタクシー運転手の年収は公式データで約570万円
業界の公式データも、求人サイトの「月収100万円」とはかけ離れています。
| 年間賃金推計額 | 令和7年 |
|---|---|
| 全国 | 450万8,200円 |
| 東京都 | 570万3,500円 |
※年間賃金推計額は「6月の月間給与×12+前年の年間賞与」で計算された数字です。毎月の給与明細の額面とは条件が異なる点にご注意ください。
全国の年間賃金推計額は、コロナ禍の令和3年に約280万円まで落ち込み、令和7年には約451万円まで回復しました。4年間で約61%増えた計算です。
東京の平均でも月換算約47万円。「月収100万円」は平均の2倍以上です。全国の平均が増えた背景には、コロナ禍からの回復に加え、運賃改定とアプリ配車の広がりがあります。
さらに、2026年4月20日には東京23区・武蔵野・三鷹で運賃改定(改定率10.14%)が実施されました。初乗り500円は据え置きですが、500円で乗れる距離が短くなる実質的な値上げで、売上には追い風です。

求人の最高額ではなく、公式データで収入の見込みを立てれば、入社後のギャップでへこみにくくなります。
月収を最大化したいなら「会社選び」が一番大事

求人に「歩合率60%」とあっても、60%を売上全体に掛けるのか、一部の金額にだけ掛けるのかで、給料は大違いです。
私の1社目は、売上から基準額を引いた残りにだけ60%を掛ける方式でした。さらに歩合の一部が賞与の積立に回るAB型でした。保証給が終わると、毎月の給料は売上全体に60%を掛けた額より5万円以上少なかったんです。
会社を選ぶときに見る条件と、面接で聞く質問は東京のタクシー会社の選び方の記事にまとめています。
よくある質問

東京のタクシー運転手の平均月収はいくらですか?
公的統計(令和7年賃金構造基本統計調査)では、東京都のタクシー運転手の賃金は月換算で約47万5,000円です。月換算の額は、年間賃金推計額の約570万円を12で割ったもので、賞与の月割り分を含みます。現役6年目の私の実績は、夜日勤・月22出番で平均40万円です。
未経験1年目のタクシー運転手の月収はいくらですか?
多くの会社に保証給があり、乗務を始めてから数か月〜1年間は月30〜40万円程度が保証されます。私の1社目は1年間・総支給40万円の保証でした。保証給には規定の出番数を満たすなどの条件があるので、労働条件通知書で確認してください。
月収40万円の手取りはいくらですか?
総支給40万円から税金と社会保険料を引いて、手取りは31〜32万円です。扶養や住民税の額で前後しますが、「額面×0.8弱」で見積もると大きく外れません。
タクシー運転手で月収100万円は本当に可能ですか?
可能ですが、月収100万円は業界トップ層が繁忙期などに出す数字です。ある民間調査では、東京都の回答者41人の約61%が「100万円超えを経験した」と答えています。ただし、平均月収が100万円を超えた人は、41人のうち2人だけでした。
月収を上げるには何を変えればいいですか?
出番数を増やすか、1出番の売上を上げるかの2つです。1出番の売上は、流し中心の営業や雨の日の出勤で上がります。歩合率と足切りは会社の規定なので、会社選びの段階で確認してください。
売上が低いとクビになりますか?
私の周囲で、売上が低いだけで解雇された人は見たことがありません。
問題になるのは、事故やクレームが重なったときです。私の会社では、まず個人面談で会社と本人が改善策を話し合います。それでも事故やクレームが減らなければ、話し合いの末に退職を勧められることもあります。
対応は会社によって違うので、面接で「成績が振るわない人へのフォロー」を聞いておくと安心です。
【まとめ】月収40万円は狙える。会社選びは慎重に

- 月収は40万円前後が目安
- 40万円に必要な月の売上は税抜約67万円
- 手取りは31〜32万円
- 多くの会社に保証給があり、終わると売上次第
- 月収60万円との差は出番数・1出番の売上・営業方法
- 求人の「月収100万円」は業界トップ層の最大瞬間風速
同じ歩合率でも、売上全体に掛けるか一部に掛けるかで、給料は大きく変わります。稼ぎ方より先に、会社選びで失敗しないことが大前提です。

私の1社目は、売上の一部にしか歩合率が掛からない会社でした。
失敗しない会社の選び方と、面接で聞く質問は東京のタクシー会社の選び方の記事で解説しています。