- 二種免許を持っていないのに応募していいのか?
- 費用はいくらで、誰が払うの?
- 「会社負担」と書いてあるが、全額なのか?
- 途中で辞めたら返すことになる?
求人票に書いてあるのは「二種免許は入社後に取得」「費用は会社負担」まで。受験料の負担や、辞めたときの返還条件までは書かれていない求人もあります。
求人の条件を調べないまま自分で免許を取ると、教習所の費用22〜29万円は自己負担です。あとから会社負担の求人を見つけても、払ったお金は戻ってきません。
東京の未経験者向け求人の多くには、入社後の養成制度があります。養成制度は、会社が二種免許の取得を支援する制度です。応募前に自分で取っておく必要は基本的にありません。
東京で乗務6年目の私も、入社後に会社の養成制度で二種免許を取りました。この記事では、応募から乗務開始までの流れ、費用の相場、会社負担の条件を解説します。

使える制度は使って、転職にかかるお金はできるだけ抑えましょう。
【二種免許とは】お客さんを乗せて運賃をもらうための免許

二種免許にはいくつか種類があり、タクシーで使うのは「普通第二種運転免許」です。この記事では、この免許を「二種免許」と呼びます。
お客さんを乗せて運賃を受け取る仕事に必要な免許で、タクシーやハイヤーの乗務に必須です。運転代行では、利用者の車を運転するドライバーに必要になります。
【二種免許の取得条件】21歳以上・普通免許3年以上が基本
- 年齢21歳以上+普通免許の経歴3年以上が基本条件
- 特例教習を修了すれば、19歳以上・経歴1年以上でも受験可能
- 視力は両眼0.8以上・片眼それぞれ0.5以上+深視力検査あり
※免許経歴(普通免許などを取ってからの期間)には、免許停止処分を受けていた期間は含まれません(詳しくは記事後半のFAQで)。視力・深視力の基準は警視庁「適性試験の合格基準」、特例教習の詳細は警察庁の案内で確認できます。
応募時に求められる条件(普通免許の経歴など)は、求人ごとに確認しましょう。
【応募から乗務開始までの流れ】面接が先、教習所は入社後

養成制度を使う場合、教習所に通うのは入社したあとです。面接より先に二種免許を取っておく必要はありません。研修の中身や順番は会社ごとに多少違いますが、流れは次のとおりです。
- 1. 求人に応募する
- 二種免許を持っていない人を対象にした求人を選びます。
- 2. 面接・選考を受ける
- 普通免許の経歴や違反歴を確認されます。
- 3. 入社する
- ここから会社の社員になります。
- 4. 会社が手配した教習所に通う
- 日程は会社が組みます。教習中に日当が出る会社もあります。
- 5. 卒業検定と学科試験を受ける
- 教習所の卒業検定に受かったら、運転免許試験場で学科試験を受けます。
- 6. 東京タクシーセンターの講習を受ける
- 東京23区・武蔵野市・三鷹市で乗務するなら、新規講習(3日間)と試験があります。
- 7. 社内研修を終えて乗務開始
- 私は2020年11月に二種免許を取り、12月から乗務を始めました。
【二種免許の取得費用】通学なら22〜29万円、会社負担の制度もある

会社の養成制度を利用できれば、二種免許の取得費用を自分で全額用意する必要はないケースが多いです。
【自費で取る場合の費用は通学で22〜29万円】
2025年9月の改正後に都内の教習所が公表している料金は、AT二種で22〜26万円、MT二種で26〜29万円です。

補習や再検定、キャンセルなどで追加料金がかかると、総額が30万円を超える場合もあります。
※2025年9月の教習改正後に各校が公表している税込総額です。トヨタドライビングスクール東京はAT二種255,200円です。竹の塚モータースクールはAT二種246,840円、MT二種283,140円。最新料金は各教習所へ確認してください。
【自費なら3ルート】通学・合宿・試験場で直接受験
| ルート | 費用の目安 | 卒業までの目安 | 技能試験 |
|---|---|---|---|
| 教習所に通う | 22〜29万円 +試験場4,150円 | 2〜4週間 | 卒業検定に受かれば免除 |
| 合宿で取る | 18〜21万円 +試験場4,150円 | 最短4泊5日 | 卒業検定に受かれば免除 |
| 試験場で直接受験 | 9,800円+取得時講習30,300円 =約4万円 | 人による | 試験場で受験。落ちるたび7,450円 |
※試験場の金額は警視庁の公表額で、約4万円は一度で合格した場合の基本費用です。直接受験では、技能試験に受かったあとに取得時講習(旅客車6時間・応急救護6時間)を受けないと免許証が交付されません。教習所を卒業した人はこの講習が免除されます。
直接受験は、通学の5分の1〜7分の1の費用で済みます。ただし、技能試験に落ちるたびに受験料がかかり、練習の費用も別です。この道で合格する人は少なく、令和7年は1,391人でした(警察庁の運転免許統計)。
AT限定の普通免許からMT二種を取る場合は、通学も合宿も日数が伸びます。
【会社の養成制度なら教習費用は会社負担】
東京のタクシー会社の未経験者採用では、取得費用を会社が負担する「養成制度」付きの求人が多くあります。
教習中に日当や研修手当を支給する会社もあります。私が入社した会社では、日当1万円と、交通費・食費として1日1,000円が支給され、教習中も収入がありました。
【二種免許の会社負担でも注意】早く辞めると費用を返す約束が付く会社がある

会社によっては、養成制度で教習費用を立て替え、決められた期間を働けば返さなくてよい仕組みにしています。その期間より前に自分の都合で辞めると、費用を返す約束です。「会社負担」でも、辞めたときの返還条件が付く場合があります。
「会社負担なら安心」で終わらせず、契約条件まで確認するのが失敗しないコツです。私の実例を交えて、確認すべきポイントを解説します。
【学科試験の受験料は何回まで会社負担か】
私の会社では、学科試験の受験料は3回目まで会社負担で、4回目以降は自腹という決まりでした。
再受験料を何回まで会社が負担するかは、タクシー会社によって異なります。入社前に、教習費用だけでなく、試験に落ちた場合の再受験料についても確認しておきましょう。
【1年以内の退職は「全額返還」と説明された】
取得費用を負担する代わりに、返還契約を結ぶ会社があります。内容は「一定期間内に自己都合で退職した場合は、免許取得費用の全部または一部を返還する」というものです。
私は入社時に、「1年以内に退職した場合は、会社が負担した二種免許取得費用を全額返還」と説明されました。

周りのドライバーに聞くと、返還が免除されるまで2年という会社も多い印象です。
返還条件や契約の有効性は、契約内容と取得の経緯で変わるものです。面接や入社手続きでは、次の4点を必ず書面で確認してください。
- 何か月在籍すれば返還が免除されるか
- 返還額は一律か、在籍期間に応じて減るか
- 会社都合退職や試用期間中の退職も対象か
- 再試験料や交通費まで返還対象になるか
私と一緒に研修を受けた同期は、親の介護を理由に1年以内で退職しています。後から本人に聞いたところ、免許取得費用を請求されたり、最後の給料から天引きされたりはしなかったそうです。
ただし、これはあくまで私が同期から聞いた一例です。親の介護なら必ず免除されるという意味ではありません。会社が個別の事情を考慮した可能性や、契約とは別に請求しない判断をした可能性もあります。
【途中で辞めたらいくら返す?】会社が実際に払った金額が基本
返還を求められるのは、会社が実際に払った金額です。中心は教習所の料金で、会社によっては受験料や交通費も入ります。
教習所の料金は自費だと22〜29万円なので、返す額もその前後になる可能性があります。ただし、会社がいくら払ったかは契約書で確認してください。
在籍した期間に応じて、返す額を減らす会社もあります。契約書に「1年で免除」とだけ書いてあるのか、「6か月なら半額」のように段階があるのかで、辞めるときの負担は変わります。

一括で払えないときに分割できるかも、契約書か会社への問い合わせで確認しておきましょう。
【返す約束がすべて有効とは限らない】
労働基準法16条は、辞めたら違約金を払うという約束を禁じています。働く人が辞めにくくなるからです。書面の名前が誓約書でも規程でも、中身が違約金なら無効になります。
ただし、会社が立て替えた実費を返す約束は、これとは別に扱われます。タクシー会社の養成費用をめぐる裁判でも、教習所の授業料と交通費は返還が認められました。
この裁判で、授業料と交通費の返還が認められた理由は3つです。
- 教習中は会社の指示で働いていない
- 二種免許は他の会社でも使える資格
- 本来は本人が払う費用を会社が立て替えただけ
一方、同じ裁判で、教習中の日当と就職支度金の返還は認められませんでした。求人広告や給与明細で賃金として扱われていたので、あとから貸付金だと主張するのは認められないと判断されたためです。何をいくら返すのかは、契約の中身で変わります。

まずは契約書で、返還の対象になる費用と条件を確認してください。
※東亜交通事件(大阪地裁 平成21年9月3日判決、大阪高裁 平成22年4月22日判決)。地裁判決の解説は労働新聞社、高裁判決の要旨は全基連の判例集で読めます。
取得費用の負担や返還条件の確認方法は、会社選びの記事でもまとめています。
【二種免許の取得期間】2025年9月改正で教習は29時限・最短3日に

これから取る人にとって大きいのが、2025年9月1日の制度改正です。普通二種免許の教習は次のように短縮されました。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 学科教習 | 19時限 | 17時限 |
| 技能教習 | 21時限 | 12時限 |
| 合計 | 40時限 | 29時限 |
| 制度上の最短教習日数 | 6日 | 3日 |
※29時限は、MTの普通免許でMT二種を取る場合と、AT限定の普通免許でAT二種を取る場合の時限数です。AT限定の普通免許からMT二種を取る場合は技能が16時限になり、合計33時限です。
表の「最短3日」は、教習所の教習を修了するまでの制度上の最低日数です。3日後に必ず免許証が交付されるという意味ではありません。
実際の取得期間は、次の要素で変わります。
- 教習所が決める開始日と日程
- 卒業検定の結果
- 運転免許試験場の予約状況
- 学科試験の結果
東京の教習所には1週間程度のスケジュール例もありますが、入校前に利用する教習所や会社へ確認してください。

私が取得した2020年当時は、改正前の40時限でした。
【二種免許の難易度】教習を受ければ十分対応できる

「二種って難しいんでしょ?」とよく聞かれます。たしかに一種より基準は上がりますが、実際に取った身として話すと、教習にきちんと通えば対応できる範囲です。
警察庁の運転免許統計(令和7年版)では、普通二種の免許試験の合格率は60.8%です。普通一種は72.8%なので、一種より10ポイント以上低い数字になります。
合格者34,019人のうち32,348人は、指定教習所(公安委員会が指定した教習所)の卒業者です。教習所を卒業してから学科試験を受けるのが一般的なルートです。ただし、教習所卒業者だけの合格率は公表されていないので、この数字から難しさは分かりません。
【学科は一種と同じ90点以上】上がるのは技能の基準
教習は学科と技能に分かれます。学科試験の合格基準は、道路交通法施行規則で一種も二種も100点満点中90点以上と決まっています。
二種で上がるのは技能試験の基準です。一種は70%以上で合格ですが、二種は80%以上が必要になります。お客さんを乗せる前提で、安全確認や乗り心地まで見られるためです。

学科の問題も、旅客の運送に関するものが加わります。
なんとなく受けて合格できるほど甘くはありませんが、教習と問題演習をこなせば十分対応できます。
【技能教習は鋭角コースなど二種特有の課題もある】
技能教習では、普通免許でも経験した課題に加えて、二種特有の課題も練習します。
- 縦列駐車
- 方向変換
- 鋭角コース
- お客さんを安全に乗り降りさせる停車方法
どの課題も、教習所では試験に合わせた指導を受けられます。授業を休まず、注意された点を直していけば、必要以上に怖がるものではありません。

私も鋭角コースは最初うまく通れず、教官に注意された点を直して技能検定は一発で合格できました。
【深視力検査は「3回の平均誤差2cm以下」が合格基準】

普通免許にはない検査が、深視力検査です。3本の棒のうち真ん中の1本が前後に動き、両端の2本と並んだ瞬間にボタンを押す、遠近感のテストです。
深視力には「3回の平均誤差が2センチメートル以下」という合格基準があります。
深視力チェック(体験版)
真ん中の棒が前後に動きます。真ん中の棒が、両端の棒と同じ大きさに見えた瞬間にボタンを押してください。本番の合格基準は、3回の平均誤差2cm以下です。
スタートを押すと始まります(全3回)
※実際の深視力検査は、両目で感じる奥行きを測ります。画面の上では棒の大きさの変化だけが手がかりになるため、本当の検査とは別物です。雰囲気をつかむためのものと考えてください。
私は最初、棒がそろう位置をうまくつかめませんでした。それでもすぐに不合格にはならず、いったん目を休ませて再検査する時間をもらえました。
検査の運用は会場によって異なる可能性があるので、見え方に不安がある人は、入校前に教習所や眼科で確認しておくと安心です。
【私が会社の養成制度で二種免許を取得した実体験】

【2020年11月に取得】技能は一発、学科は3回目
教習は平日の朝から夕方まで、学科と技能がぎっちり組まれていました。当時は改正前で、学科19時限・技能21時限の合計40時限です。
技能検定は一発で合格できましたが、試験場の学科試験には2回落ち、3回目で合格しました。

3回目で受かったときは、うれしいというより「自腹を回避できた」という安心のほうが大きかったです。
教習中に出たのは、日当1万円と、交通費・食費として1日1,000円です。日当はその場では渡されず、通った日数分が給料日にまとめて振り込まれました。
ただし、これは2020年当時に私が入社した会社の例です。日当が出ない会社や、研修期間中は給与が下がる会社もあります。求人票や面接で必ず確認してください。
免許を取ったあとは東京タクシーセンターの講習と社内研修を受け、2020年12月から乗務を始めました。乗務が始まってからの働き方は、隔日勤務の記事で解説しています。1出番(1回の勤務)の流れが分かります。
【高校中退で勉強は苦手】それでも学科3回目で合格できた
私は高校を中退しているため、最終学歴は中卒です。特別な教材は買わず、教習所の授業と、教習所のパソコンで解ける過去問だけで受けました。
今振り返ると、家でも過去問を繰り返すべきでした。繰り返していれば、もっと早く合格できたはずです。二種免許の受験資格に学歴の条件はありません。

勉強が苦手な人でも、最初から「自分には無理」と決める必要はないです。
【東京のタクシー地理試験は2024年2月29日に廃止】

以前、東京でタクシードライバーになるには、二種免許とは別に「地理試験」という関門がありました。都内の地名や道路を暗記する試験で、これがなかなかの難物。

私は、地理試験に7回落ちて8回目で合格した人間。今から入る人が心底うらやましいです。
【東京タクシーセンターの法令・安全・接遇の試験は残る】
東京23区・武蔵野市・三鷹市で乗務する場合、試験そのものがすべてなくなったわけではありません。
現在も必要なのは、東京タクシーセンターの新規講習(3日間)です。そのうえで、法令・安全・接遇についての試験(45問中36問以上の正解で合格)にも合格しなければなりません。
地理は講習内の効果測定で扱われるだけです。効果測定は、講習の内容を理解できたか確かめるテストです。以前のように地理だけで合否を決める試験ではなくなり、暗記の負担は昔より確実に軽くなっています。
地理に不安がある人向けには、2026年6月から新人地理基礎研修も始まりました。会社を通じて申し込みます。
【タクシー二種免許のよくある質問】

AT限定免許でも二種免許は取れる?
取れます。ただし、AT限定の普通免許からMT二種を取る場合は教習が増えます。どの区分で取るのかを事前に確認しましょう。
二種免許を自分で取ってから応募したほうが有利?
採用で有利になるとは限りません。東京の未経験者向け求人は、二種免許がない人を前提にしたものが多いからです。通学で取ると22〜29万円かかりますが、会社の返還条件には縛られません。
違反歴や免許停止歴があっても取得できる?
受験資格の「免許経歴3年以上」は、免許停止処分を受けていた期間を除いて計算されます。停止歴があっても、通算の経歴が条件を満たせば受験は可能です。心配な場合は、教習所や運転免許試験場に確認してください。
【まとめ】二種免許はタクシー転職の大きなハードルになりにくい

- 二種免許なしで応募できる
- 教習費用は会社負担の求人が多い
- 教習中に日当が出る会社もある
- 早く辞めると教習費用を返す場合がある
未経験者向けの求人を選べば、二種免許を持っていないこと自体は、大きなハードルになりません。教習費用や研修中の収入を会社が支援してくれる場合があるからです。

あとは、教習費用の負担範囲と返還条件を比べて、応募先を選ぶだけです。
タクシーの仕事内容や稼ぎ方は、タクシー転職まとめ記事でテーマ別に整理しています。ぜひあわせて読んでみてください。