- 40代・50代からでは、もう遅い?
- 未経験の中高年を、本当に採用してくれるの?
- 若い人より稼げないのでは?
- 今から始めて、何歳まで働けるの?
年齢を理由に一歩を踏み出せずにいませんか? ほかの業界への転職と同じ感覚で考えると、自分には無理だと思い込んでしまいます。
40代・50代からのタクシーへの転職は遅くありません。タクシー運転者の平均年齢は56.8歳で、40代は業界では若手。年収が一番高いのも40代後半です。年齢制限は会社ごとに違い70代で働く人もいます。
東京で乗務6年目の私が、公的統計と現場で見てきたことをもとに、採用・収入・60代からの働き方・会社選びを解説します。

稼げるかどうかは年齢よりも、どの会社を選ぶかで変わります。
【タクシー業界の平均年齢は56.8歳】40代は若手に入る

出典:全国ハイヤー・タクシー連合会「『令和7年賃金構造基本統計調査』によるタクシー運転者の現況」(2026年5月公表)
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査によると、タクシー運転者の全国平均年齢は56.8歳。前年の60.2歳から3.4歳下がりましたが、全産業平均の44.4歳より12歳以上高い水準です。
普通の業界だと、40代は「転職できるギリギリの年齢」と見られがち。でもタクシーでは、40代は業界平均より若い世代に入ります。45歳なら平均より10歳以上若く、50代前半でも平均年齢を下回ります。
【タクシーへの転職で40代・50代が不利にならない3つの理由】

タクシー業界の仕組みそのものが、年齢を問題にしにくくなっています。
【タクシーは歩合制だから、年齢で給料が決まらない】
普通の会社への転職で40代が不利になりやすいのは、「年齢に見合った給料を払う価値があるか」を会社が見極めるからです。
タクシーの給料は歩合制です。売上に応じて給料が増える仕組みなので、会社が年齢を見て給料を決める必要がほぼありません。同じ会社で勤務形態や歩合率(売上に掛ける割合)が同じなら、20代でも60代でも、同じ売上に対する給料はおおむね同じです。
令和7年の統計では、タクシー運転者の年収(統計上の年間推計額)は次のとおりです。
- 20〜24歳:約483万円
- 30〜34歳:約518万円
- 45〜49歳:約521万円
20〜24歳の年収は、同年代の全産業平均(約361万円)を120万円以上も上回ります。年齢による賃金の差は大きくなく、年齢よりも売上が給料に反映されやすいことが数字からも読み取れます。
業界全体で人手不足が続いていることもあり、40代・50代の未経験者を積極的に採用する会社は多いです。「年齢だけを理由に断られた」という話を、私はほとんど聞きません。ただし、採用基準は会社ごとに違います。

採用で見られるのは、年齢より運転記録(重大な違反歴など)や健康面だと感じています。
【体力より「安全運転」が評価される】
「体力的についていけるか」という不安、よく分かります。タクシーの仕事は、座って運転して、お客さんと軽く話すのが基本。座る時間は長いですが、私は隔日勤務の3年間、腰も肩も痛めませんでした。
営業中は空調の効いた車内にいる時間が長いので、屋外の仕事より暑さ寒さの影響を受けにくいです。力仕事も少なめですが、長時間の運転なので集中力は要ります。また、車椅子のお客さんの乗り降りを支えたり、車椅子や荷物をトランクに積んだりすることもあります。
会社が年齢や体力より重視するのは、安全運転と健康状態です。私の会社でも、落ち着いて運転できる40代・50代は十分な戦力と見なされています。

事故1回の費用は、会社負担で何十万円にもなります。費用がドライバーの売上を超えれば、会社は赤字です。
【社会人経験がそのまま武器になる】
タクシーの接客では、長い社会人経験がそのまま生きます。
お客さんには、経営者や役職付きのビジネスパーソンもたくさんいます。相手に合わせた言葉遣いや、話しかけすぎない気配りができる40代・50代のほうが、信頼されやすい場面は多いです。
乗務を始めた頃、20代で勢いのある私より、ずっと年上で社会人経験豊富な同期のほうが、接客の評判が良かったです。
【40代・50代のタクシー運転手の年収】運転手全体の平均より高い

40代・50代でいくら稼げるのかを、公的統計と私自身の給料の2つから見ていきます。
【公式データ】年収が最も高いのは40代後半の約521万円
| 年齢 | タクシー運転者の年間推計額 |
|---|---|
| 20〜24歳 | 約483万円 |
| 25〜29歳 | 約483万円 |
| 30〜34歳 | 約518万円 |
| 35〜39歳 | 約492万円 |
| 40〜44歳 | 約499万円 |
| 45〜49歳 | 約521万円 |
| 50〜54歳 | 約494万円 |
| 55〜59歳 | 約481万円 |
| 60〜64歳 | 約440万円 |
| 65〜69歳 | 約379万円 |
| 70歳〜 | 約348万円 |
※年間推計額=「6月の月間給与×12+前年の年間賞与」で算出した統計上の年収。出典:全国ハイヤー・タクシー連合会「『令和7年賃金構造基本統計調査』によるタクシー運転者の現況」
令和7年の統計によると、タクシー運転者の年収が最も高いのは45〜49歳の約521万円。前後の年代も500万円近くで、40代後半を頂点とする山になっています。
全産業では、年収のピークは50代後半です。一方、タクシーでは40〜59歳の年収がいずれも約481万〜521万円。どの年代も、タクシー運転者全体の平均(約451万円)を上回っています。
ただし、表の数字は「年齢別の平均値」です。40代で転職すれば、年収が自動的に約521万円になるわけではありません。収入を左右するのは、次の4つです。
- 勤務形態
- 営業エリア
- 会社の給与体系
- 本人の売上

全国ハイヤー・タクシー連合会の資料にも、平均値だけで見ないよう注意書きがあります。
なお、東京都のタクシー運転者の年間推計額は約570万円と、全国平均を120万円ほど上回ります。
※東京都の全産業労働者の年間推計額は約678万円です。
【私の実例】夜日勤・月22出番で総支給40万円前後
私は夜日勤(夕方から深夜まで働く勤務)で、月22出番(1か月に22回の乗務)です。社会保険や税金を引く前の総支給額は月平均40万円前後です。月22出番は、特別に多い数ではありません。
営業のやり方を覚えて、1年目から月40万円のラインに届く人もいれば、もう少し時間がかかる人もいます。ただ、大事なのは、月40万円に届くかどうかに年齢がほぼ関係ないこと。40代で未経験から始めても、月40万円はやり方次第で十分に狙える水準です。

私の1社目は、保証給(給料の最低保証)と入社祝い金で、初年度の年収が500万円に届く会社でした。
【未経験の不安を消す2つの事実】

「この歳で未経験なんて」と不安になる必要もありません。むしろタクシーは「未経験で入るのが普通」の業界です。
【未経験からの入社が業界のスタンダード】
大手各社の採用ページを見ると、未経験入社が多数派だと分かります。
※2026年10月12日確認:各社の公式採用ページ
タクシードライバーの前職はバラバラです。
- 営業マン
- 飲食店アルバイト
- トラック運転手
- 公務員
今の会社にも、50歳でトラック運転手から、60歳で公務員から転職してきたドライバーがいます。私自身も、前職は新聞配達員でした。1社目で研修を受けたときは、同期10人ほどのうち、見た感じでは8割ほどが40代以上でした。

業界のことも東京の道も知らずに入社しましたが、道は乗務するうちに自然と覚えました。
東京のタクシー地理試験は、2024年2月29日に廃止されました。今は、地理だけで合否が決まる試験はありません。
【二種免許は会社負担が主流】保証給で収入の不安もカバーできる
二種免許の取得費用は、会社が負担する制度が主流です。私も自腹は一切なく、教習中は日当1万円も出ました。ただし、決められた期間より早く辞めると、費用の返還を求められる会社もあります。
乗務を始めてから数か月〜1年間、月30〜40万円程度を保証する「保証給」がある会社も多いです。私の1社目では1年間、毎月の総支給額40万円が保証されていました。
二種免許の費用は二種免許の費用と取得までの流れ、保証給は東京のタクシー運転手の月収と保証給の記事で書いています。

保証給の有無・金額・始まる時期・期間・条件は会社次第。面接で必ず確認してください。
【60代からでも遅くない】70代の現役ドライバーもいる

私の周りにも60代から未経験で入ってくる人がいて、1回の勤務が長い隔日勤務より、昼の日勤を選ぶ人が多い印象です。日勤を選んだ理由を聞くと、「夜は暗くて目が見えづらく、運転しづらい」と話す人が何人もいました。
【年齢制限と定年は会社ごとに違う】
定年は会社によって違います。私の会社の定年は70代半ばですが、「免許を更新できるうちは何歳でも」という会社もあります。応募できる年齢の上限(年齢制限)も会社ごとに違うので、求人票で確認してください。
タクシーの仕事は、会社が変わってもやることは同じです。入った会社で定年を迎えても、別の会社で続ける道があります。
健康状態や会社の定年にもよりますが、40代なら20年以上、50代でも10年以上働ける可能性は十分あります。私の周りでは、年金をもらいながら「定時制」(出番を通常の3分の2ほどにする働き方)で働く人も多いです。
【私の会社の売上トップ層は、60歳以上ばかり】
私の会社の売上トップ層には、長年乗っている人だけでなく、60代で入った人もいます。70代で隔日勤務を続けている人もいて、年齢で売上が決まるわけではありません。
全国ハイヤー・タクシー連合会の資料は、統計で60代以降の年収が下がる理由に、日勤への移行を挙げています。売上の高い隔日勤務や夜日勤から日勤に移った人は、年収が下がるためです。

歩合制なので、60代でも売上を上げれば、その分給料は増えます。
【40代・50代でも採用されにくい4つのケース】

年齢に関係なく、次の4つに当てはまると採用されにくくなります。
- 重大な違反歴・事故歴がある
- 飲酒運転や、免許停止につながる違反など。採用時に運転記録証明書の提出を求める会社が多いです。
- 健康面で乗務に支障がある
- 健康診断や二種免許の検査に通らないケース。薬を飲みながら乗務する人も多いので、持病は面接で相談してください。
- 勤務条件が会社と合わない
- 隔日勤務を募集する会社に、日勤だけを希望するケースなど。
- 接客や安全への意識に不安がある
- お客さんを乗せる仕事なので、接客態度や安全運転への意識も見られます。
4つのどれにも当てはまらなければ、年齢そのものがネックになる場面は少ないというのが現役ドライバーの感覚です。
【勤務形態は自分の体に合わせて選ぶ】体力が不安なら日勤から

タクシーの勤務形態は、隔日勤務・日勤・夜日勤の3つです。
隔日勤務は、休憩を含む1回の拘束時間が18時間ほどと長く、生活リズムも特殊です。
隔日勤務に慣れれば問題ない人も多いですが、体力に不安があるなら、日勤から始めてみてください。日勤で入社できるかは会社ごとに違うので、求人票や面接で確かめてください。

隔日勤務を3年やりましたが、1回の勤務が長すぎて、飽き性の私には合いませんでした。
隔日勤務から夜日勤に変えたあとも、私の月の総支給は40万円前後で変わっていません。3つの勤務形態は、隔日勤務・日勤・夜日勤の違いの記事で比べています。
【年齢より会社選びが大事】給料の計算方法は会社ごとに違う

40代・50代の転職で気をつけるべきは、年齢ではなく会社選びです。
求人に同じ「歩合率60%」とあっても、売上全体に掛けるのか、一部の金額にだけ掛けるのかで、給料は大きく変わります。
私の1社目は、歩合率が売上の一部にしか掛からず、賞与の積立に回る分もある方式でした。保証給が終わると、求人の歩合率から計算した額より、毎月の給料が5万円以上少なかったんです。年齢で悩むより、会社選びに時間をかけたほうが入社後の給料に直結します。
給料の計算方法の見分け方は、タクシー会社の選び方の記事でまとめています。
【よくある質問】

40代・未経験でもタクシー会社に採用されますか?
採用される可能性は十分あります。タクシーは未経験で入社する人が多い業界で、私の会社にも50歳や60歳で未経験から入った人がいます。ただし、採用基準は会社ごとに違い、運転記録や健康状態は確認の対象です。
50代から始めて何歳まで働けますか?
定年は会社によって違い、70代半ばまで働ける会社や、免許を更新できるうちは何歳でも働ける会社もあります。私の会社にも70代の現役ドライバーがいます。
60代・未経験でもタクシー運転手になれますか?
なれます。私の周りにも60代で未経験から入った人がいます。応募できる年齢の上限は会社ごとに違うので、求人票で確認してください。
二種免許の費用は本当に会社負担ですか?
自費で教習所に通うと22〜29万円ほどかかる取得費用を、会社が負担する制度が主流です。ただし、「入社後◯年以内に退職した場合は返還」などの条件が付くことがあるので、面接で確認してください。詳しくは二種免許の費用と取得までの流れの記事で解説しています。
40代・50代のタクシー運転手はいくら稼げますか?
令和7年の統計では、45〜49歳の年収(年間推計額)が約521万円と、全年代で最も高くなっています。50代は前半が約494万円、後半が約481万円です。ただし、歩合制のため個人差が大きく、勤務形態・エリア・会社の給与体系で変わります。
【まとめ】40代・50代からのタクシーへの転職は遅くない

- 平均年齢は56.8歳で40代は若手
- 年収のピークは40代後半
- 70代の現役ドライバーもいる
- 採用で見られるのは運転記録と健康
- 年齢より会社選びが大事
入社後の関門として知っておきたいのが、二種免許の深視力検査です。遠近感を測る検査で、年齢に関係なく苦労する人がいます。
私も深視力検査で苦労しました。二種免許の記事に、検査の流れを体験できるツールを置いているので、試してみてください。

年齢の不安が消えたら、次は応募から乗務までの流れを知っておくと安心です。
応募から乗務までの流れや、仕事内容・稼ぎ方は、タクシーへの転職のまとめ記事でテーマ別に整理しています。あわせて読んでみてください。