PR
「タクシー運転手 やめとけ」「やばい」「きつい」と検索して、不安になっていませんか?転職を考えていた当時の私も、まったく同じことをしていました。
先に結論をお伝えすると、会社選びと働き方が自分に合えば、私は「やめとけ」とは思いません。ただし、ネットで言われる「やめとけ」の理由にも一理あるのは事実です。
この記事では、現役6年目のドライバーである私が、「やめとけ」と言われる理由と実際のところを、自分の体験談と、公的なデータ・制度の両方から解説します。

私個人の話は「私の場合」、業界全体の話は出典つきで、分けて書いていきます。
タクシー運転手は本当に「やめとけ」なのか
よく言われる不安と、6年やってきた私が感じている実際のところを、まず一覧にまとめます。
| よくある不安 | 実際 |
|---|---|
| 稼げない | 給与体系・会社・勤務形態で大きく変わる |
| 労働時間が長い | 拘束時間は長いが、待機や休憩も含まれる |
| 事故が怖い | リスクはある。会社の保険と自己負担ルールが重要 |
| 客が怖い | トラブルはあるが、営業場所や時間帯で減らせる |
| 体がきつい | 腰痛・眠気・生活リズムへの対策が必要 |
つまり、「やめとけ」かどうかは、仕事内容への適性に加えて、どの会社で、どんな働き方をするかによって大きく変わる。これが6年やってきた私の実感です。
「やめとけ」という意見が出る背景
同じタクシー業界でも、会社の給与体系、営業するエリア、勤務形態、そして本人の適性によって、働きやすさは大きく変わります。
だからこそ経験者の評価も割れるのだと思います。
「やめとけ」と言う人の経験も、「天職だ」と言う人の経験も、どちらも本当なのでしょう。

大事なのはどちらの声を信じるかではなく、評価が分かれる要因(会社・エリア・勤務形態・適性)を自分で確認することです。
「やめとけ」と言われる5つの理由と実際のところ

ネットで見かける「やめとけ」の理由は、だいたい「稼げない」「労働時間が長い」「事故が怖い」「客がやばい」「体がきつい」の5つに集約されます。

1つずつ、現役の目線で見ていきます。
理由1:「稼げない」は給与体系と会社選びで大きく変わる
「タクシーは稼げない」という声の背景には、給与の仕組みが会社ごとに大きく違うことがあります。
タクシーの給料は歩合が中心ですが、同じ「歩合率60%」と書いてあっても、一定の売上(足切りライン)を超えた分にしか歩合がつかない計算式を採用している会社もあります。求人票の数字だけでは実際の手取りは分かりません。。
理由2:「労働時間が長い」は事実。ただし中身はずっと連続労働ではない
タクシーの1出番の拘束時間が長いのは事実です。ここはごまかせません。
ただし、拘束時間の中には待機や休憩の時間も含まれます。
私は羽田空港や銀座など「待ち時間は長いけれど単価が高い」ツケ待ち場所を軸に営業しており、体感では羽田で1〜2時間、銀座で30分〜1時間、駅やホテルで5〜30分ほど並びます。
1,000円のお客様を30回お乗せして3万円より、1万円のお客様を3人お乗せするほうが、体力の消耗は少ない。
これが私の営業の考え方です。待機中は、乗り場や会社のルールを守ったうえで、休憩や体を伸ばす時間に充てられる場合もあります。

これが私の営業の考え方です。待機中は休憩や体を伸ばす時間に充てられます。
理由3:「事故が怖い」——リスクは事実。会社のルールと保険を必ず確認
事故のリスクはあります。これは正直に認めます。プロとして毎日長時間運転する以上、確率をゼロにはできません。
そのうえで知っておいてほしいのが、事故が起きたときの自己負担ルールは会社によって異なるということです。ここには労働法も関係します。
事故時の「罰金」と法律の関係
あらかじめ「事故1回につき一律◯万円を負担」のように賠償額を決めておく契約は、労働基準法第16条(賠償予定の禁止)との関係で問題になり得ます。
また、修理費を給与から一方的に天引きすることも、賃金全額払いの原則(同法第24条)との関係で原則として認められていません。
ただし、故意または過失によって実際に損害が生じた場合は、事情に応じて損害の全部または一部について賠償責任が生じることがあります。
その場合でも、会社が修理費などを給与から一方的に天引きできるわけではありません。
参照:労働基準法(e-Gov法令検索)第16条・第24条
面接のときには、事故対応の流れ、加入している保険、自己負担が発生する条件を、できるだけ書面で確認しましょう。「罰金がないか」だけでなく、保険・免責・重大過失時の扱いまで聞いておくと安心です。

キャッシュレス決済手数料を乗務員負担にしていないかも要チェックです。
理由4:「客がやばい」——ストレスはあるが、多くはその乗務限り

ここはネガティブな話なので正直に書きます。お客様対応でストレスが溜まることは、実際にあります。私の経験では、大きく3タイプです。
- 運転中に困らせるタイプ
- 時間に追われて急がせる、走り出してから突然行き先を変える、安全ルールに反する指示を出す
- 車内を汚すタイプ
- 体調不良や酔いによる車内汚損。清掃で半日仕事になることもある
- 精神的に削ってくるタイプ
- 態度の悪さ、暴言、見下した発言、ハラスメント
並べるとしんどそうに見えますよね。ただ、先輩に教えてもらった言葉が今でも私の支えになっています。
長距離のご利用などの例外はありますが、多くのお客様とは短時間、その乗務限りの関係です。

嫌な上司や取引先と毎日顔を合わせ続ける人間関係とは、ストレスの性質が違いますね。
泥酔したお客様への対応と法令
タクシーは公共交通機関であり、正当な事由なく乗車を断ることはできません(道路運送法第13条)。
一方で、「泥酔した者又は不潔な服装をした者等であって、他の旅客の迷惑となるおそれのある者」などについては、運送の引受けや継続を拒絶できると定められています(旅客自動車運送事業運輸規則第13条)。
実務上は、行き先を明瞭に伝えられない、車内を汚すおそれが高い、といった状態が該当し得ます。
私も、こうした場合には乗車をお断りすることがあります。「酔っているから乗せない」のではなく、断れる条件が決まっていると理解しておくのが正確です。
参照:道路運送法第13条・旅客自動車運送事業運輸規則第13条(いずれもe-Gov法令検索)。泥酔の具体例は通達「タクシー業務適正化臨時措置法の施行について」(国土交通省・通達データベース)による。
理由5:「体がきつい」——腰痛・眠気・生活リズムは対策が前提
座りっぱなしの仕事なので、腰痛持ちのドライバーは私の周りにも正直多いです。
深夜帯の眠気や、勤務形態による生活リズムの乱れも、この仕事の「きつさ」として無視できません。

私が6年続けるために意識しているのは、次の2つだけです。
- 睡眠サイクルを崩さない
- 体が資本の仕事です。寝不足は事故リスクを上げ、判断力を鈍らせて売上にも響きます。休日も含めて自分のリズムを守っています。
- 無理な営業はしない
- 焦って売上を追うと、事故や違反によって乗務できなくなるリスクがあります。単月で高収入を狙うより、安全を優先して毎月安定して働くほうが、長い目で見れば得。「太く短く」より「細く長く」です。
腰痛対策としては、変な姿勢で運転しないこと、待機やトイレ休憩のタイミングで軽く体を伸ばすこと。
私はこれに週1回のジムを足しているくらいですが、この程度でも6年間、体は保っています。
それでも現役6年目が「続けやすい仕事」だと感じる理由

ここからは、6年働いてきた私の主観です。デメリットを踏まえたうえで、それでも私がこの仕事を「続けやすい」と感じる理由を挙げます。
1. 体調不良のときに休みやすい
私の現在の会社では、体調が悪いときは電話で連絡して休むことができます。理由を細かく追及されたり、代わりの人を自分で探したりする必要もありません。前職と比べて、これは私にとって大きな変化でした。
これは会社の優しさというより、合理的な判断でもあります。体調の悪いドライバーに無理して乗務されるほうが、事故のリスクが上がり、お客様と会社の信用を危険にさらすからです。

新聞配達員だった頃、40度の熱で意識朦朧としながらも、プレッシャーで休めなかったことを今でも覚えています。あの環境と比べると、この違いは本当に大きいです。
2. 仕事量とペースを自分で決めやすい
ノルマのない会社であれば、その日の体調や目標に合わせて働き方を選べます。
今月は稼ぎたいと思えば流し中心でしっかり営業すればいいし、体力を温存したい日は、乗り場や会社のルールの範囲内で、待機時間を休憩や読書に充てるゆったりした営業に切り替えてもいい。
「今日いくら稼ぐか」をある程度自分で決められるのは、この仕事の面白いところだと思います。
3. 人間関係のストレスが少ない
出庫してしまえば、上司も同僚もいない、車内は自分だけの空間です。
私の現在の勤務では、一般企業のような定例会議や報告書作成はほとんどなく、営業所で人と話すのも主に出庫と帰庫の時間です。
嫌なお客様に当たっても、多くの場合はその乗務限りです。「組織で働くのがしんどい」と感じてきた人ほど、この環境の楽さが身に染みると思います。
4. 幅広い年齢層が長く働ける
私の周囲では、70代で現役のドライバーも見かけます。実際に幅広い年齢の人が働いているので、年齢だけを理由に転職を諦める必要はないと感じています。
これは根性論ではなく構造の話で、無理せず安全運転で淡々と続ける人が結果的に一番得をする仕組みだからだと思っています。
車内は空調が効いていて力仕事も比較的少ないので、屋外労働だった前職と比べれば、体への負担の質はかなり違います。

もちろん、長時間座り続ける疲れや深夜の眠気のような「きつさ」がゼロとは言いません。ただそれは、慣れと対策で軽くしていける種類のきつさだ、というのが私の実感です。
向いている人・向いていない人(6年間の私の印象)

「自分にできるかな」と気になる方向けに、6年間でいろいろな同僚が入っては辞めていくのを見てきた、あくまで私の印象を書いておきます。
適性は人それぞれなので、断定はできない前提で読んでください。

ひとつだけ大前提を挙げるなら、運転が嫌いではないこと。何時間も車に乗り続ける仕事なので、ここだけは外せないと思います。
向いている傾向がある人
- 運転が好き、もしくは苦にならない
- お客様と最低限のやりとりができる
- 細かいことを気にしすぎない
- のんびりマイペースなタイプ
意外かもしれませんが、ガツガツした体育会系よりも、おとなしくのんびりしたタイプのほうが営業成績が安定している印象があります。
お客様との接し方も、ガツガツしていないほうが好まれやすいです。
続けるのが大変かもしれない人
運転の荒いライバル車や、理不尽なお客様には、この仕事をしていると日常的に遭遇します。
そのたびに「自分は正しいのに」「向こうが間違っているのに」と強いストレスを溜めてしまうタイプの方は、私の周りを見ている限り、消耗して離れていくケースが多かった印象です。

良くも悪くも「まあいいか」と受け流せる図太さが、長く続けるうえでは武器になると感じています。
「向いているか不安」な人へ
正直なところ、向き不向きはやってみないと分からない部分もあります。上に挙げた特徴に全部当てはまらなくても、心配しすぎる必要はありません。
お客様とのやりとりは基本的にその乗務の間だけで、こちらから無理に話題を振る必要もないので、営業トークのようなコミュニケーション能力は必須ではありません。
また、未経験者向けの二種免許養成制度や給与保証を設けている会社もあり、比較的挑戦しやすい業界です。
ただし、研修期間中の収入や、早期退職時の免許取得費用の返還条件は会社ごとに違います。応募前にそこを確認しておけば、転職時のリスクを抑えやすい仕事だと思います。
私は、昔あった「地理試験」に7回落ちて、8回目でようやく受かりました。あのときは本気で「向いていないかも」と思いましたが、地理が苦手だった私でも、経験を積むことで月40万円前後を安定して得られるようになりました。

学歴や特別なスキルがなくても、やりながら覚えられる仕事です。
【朗報】東京のタクシー乗務員試験から「地理科目」は廃止されました
東京でタクシー乗務員になる際の試験のうち、難関だった地理の科目は2024年2月末で廃止されています。これから転職する方は、私が7回落ちたあの関門を通る必要はありません。羨ましい限りです。
出典:東京タクシーセンター
現在の免許取得の流れはタクシーの二種免許の費用の記事で解説しています。
後悔しないタクシー会社の選び方

ここまで読んでくださった方ならお気づきかと思いますが、「やめとけ」を避けるための最大のポイントは、条件のまともな会社を選ぶことです。

そして今は、会社を選ぶ側にとって追い風の状況です。
データで見る:運転職は今も人手不足が続いている
東京労働局が公表した「一般職業紹介状況(令和8年3月分)」によると、自動車運転従事者の有効求人倍率(常用・原数値)は3.70倍。全職業計の1.53倍を大きく上回っています。
この区分はタクシーだけでなくトラックなど自動車運転職全体を含む数字ですが、運転職全体で人手不足が続いており、求職者側が会社を選びやすい状況であることが分かります。

応募・面接前のチェックリスト
だからこそ、選び方さえ間違えなければ後悔する可能性はかなり減らせます。

私が今もし転職活動をやり直すなら、次の点を確認します。
- 歩合率の計算式がシンプルか
- 事故時の自己負担ルールと保険の内容
- キャッシュレス決済手数料の乗務員負担がないか
- 給与保証の金額・期間・欠勤時の扱い
- 勤務形態(隔日勤務・日勤・夜日勤)を自分の体に合わせて選べるか
- 入社祝い金の支給条件
- 早期退職時に二種免許の取得費用の返還義務の条件
注意したいのは、歩合率の高さや祝い金の額だけで選ばないこと。
入社祝い金には、在籍期間、出番数、欠勤回数、売上などの支給条件が設けられている場合があります。金額だけで判断せず、満額を受け取るための条件を書面で確認しましょう。
収入面の不安については、給与保証のある会社を選ぶのが現実的です。私の場合、1社目は1年間・総支給40万円の保証つきでした。
ただしこれは恵まれた例で、保証の期間・金額・対象条件は会社ごとに大きく異なるため、応募前に必ず確認してください。
ライドシェア・自動運転で仕事はなくなるのか

最近増えているのが、この将来性への不安です。「ライドシェアも解禁されたし、自動運転も来るし、今からタクシーはないでしょ」と言われると、不安になりますよね。

ここは事実と私の感想を分けて書きます。
まず事実:自動運転は「遠い未来の話」ではない
政府目標では2027年度・2030年度が節目。目標を閣議決定しています(新しい資本主義実行計画・2025年改訂版)。さらに第3次交通政策基本計画では、自動運転サービス車両を2030年度に1万台とする数値目標が新たに設定され、自動運転タクシーも支援の対象に含まれています。国土交通省は2026年1月に「自動運転社会実現本部」を設置し、取り組みを進めています。
ですので、「無人タクシーなんてまだまだ先」と言い切るのは正確ではありません。自動運転そのものは、着実に近づいています。
一方で:事業化と「都内のタクシーが一斉に無人化」は別問題
ただし、事業化が始まることと、東京都内を走るタクシーが短期間で無人に置き換わることは、別の話です。
複雑な道路環境への対応、事故が起きたときの処理、乗り降りの介助、接客など、現状は人が担っている業務が多く残っています。
これから転職する人が働く期間のうちに仕事が丸ごとなくなる、とは考えにくい。これが現場で働く私の見方です(あくまで予測であり、断定はできません)。

動向は今後もチェックしていきます。
ライドシェア解禁の影響(現場の肌感覚)
日本版ライドシェア(自家用車活用事業)は、タクシーが不足する地域・時期・時間帯と不足車両数を特定し、その不足分をタクシー事業者の管理のもとで自家用車・一般ドライバーが補う制度です。つまり稼働するのは、もともとタクシー需要が高い時間帯が中心です。制度の運用は改善が続いているので、最新の内容は出典で確認してください。
流しやツケ待ち中心で営業している私自身は、今のところパイを奪われている実感はほぼありません。
一方で、私の周囲では、アプリ配車・無線配車を営業の軸にする人から、影響を感じるという声も聞きます。

営業スタイルによって影響の受け方が違う、というのが現場の肌感覚です。
まとめ|会社選びと適性を見極めれば「やめとけ」とは限らない
・「やめとけ」と感じるかどうかは、仕事内容への適性に加えて、会社選びと働き方によって大きく変わる
・給与体系・事故時の自己負担・保証給の条件は、応募前に書面で確認する
・お客様対応のストレスは実際あるが、多くはその乗務限りの関係。営業場所や時間帯である程度減らせる
・腰痛・睡眠など体のケアは、「細く長く」働くための前提
・自動運転は着実に進んでいるが、短期間で仕事がすべて置き換わるとは考えにくい(筆者の見方)
私自身、新聞配達から転職して6年経ちましたが、今のところ後悔はありません。
やり方次第でしっかり稼げて、自分のペースでのんびり働くこともできる。学歴不問で年齢の幅も広く、未経験から始めやすい仕事は、そう多くないと思います。

ただし、何度でも言います。会社選びだけは、絶対に慎重に。この記事のチェックリストが、そのお役に立てば嬉しいです。